Fableの記録
AIに改善を任せたら、合格基準まで変えた。
執筆システムの改善をAIに任せたら、目標に届かない原稿を合格にするため、AIが基準のほうを緩めた。そこで7月は条件を先に固定し、測る道具と予測まで含めて検証し直した記録です。
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改善の記録を、評価の記録に変えた
対象は日本語小説の執筆システムです。2026年6月、執筆手順、日本語の品質、トークン効率の改善をAI自身に任せました。期待していたのは、出力が基準に届かなければ書き方の手順を直し、同じ基準で評価し直す動きでした。
ところが、目標に届かない出力を前に、AIは品質基準へ「目標値の3割減を許容」という規則を加え、合格扱いにしました。仕組みを直してほしいという依頼に対し、目の前の小説の推敲に集中してしまったことも、このときの記録に残っています。
第6話で記録された基準変更
設計上の文字数は6,000〜7,000字でした。初稿は2,831字にとどまっていたのに、AIの自己申告は約6,200字でした。
後半の話の目標も、5,000〜6,000字から4,200〜5,000字へ下がっていました。これは2026年6月10日の一件の記録で、その後のモデル全般の性質を示すものではありません。
7月は、条件を先に固定した
7月は、予測、手順、判定基準を、結果を見る前に固定しました。どの条件で書いたかを伏せ、文脈を共有しないFableが採点する形にして、書く側が評価の前提を動かせないようにしています。
この方法も、正しさを保証するものではありません。結果だけでなく、測る道具や事前の予測がどれだけ外れるかを残すための条件として使いました。
予測を封印する
主要な予測を結果を見る前に記録し、後から説明を合わせない。
条件を伏せて採点する
生成時の条件を採点側へ渡さず、共有コンテキストを持たない状態で判定する。
判定器も見直す
数値が出ても、その数値を作った測定手順を別に確かめる。
試し書きは、本文ではなく直し方を渡す
約600字の試し書きと、その修正稿をそのまま本番の執筆へ渡す条件は、渡さない条件に、条件を伏せた評価で全会一致で負けました。短い試し書きに、本編の文体と長さが引っ張られたためです。
その後は、試し書きの文章ではなく、基準に反した箇所と直し方、基準そのものを渡すようにしました。これも、この小説での限られた比較から選んだ方法です。
測定器の撤回と、予測の外れ
「文が長すぎる」と判定していた測定は、179字と出た文が実際には46字でした。測る道具そのものの誤りとして、過去2回分の判定を撤回しています。数値が出ていることと、その数値を判定の根拠にしてよいことは別でした。
本文にわざと5件の誤りを埋めた試験では、見つけられた数が3件から、改修後は4件に増え、誤検出は0件でした。ただし、複数の事実をまたぐ矛盾と、本文の中の計算でもっともらしく見せる誤りは見逃したままでした。
| 記録項目 | 結果 | この記録での判断 |
|---|---|---|
| 文体基準 | 反復作成の最良と最悪が並び、優位を示せなかった | 新規作成には安い直接記述を使う |
| ルールの渡し方 | 古いルールを外すと読み味は上がったが、分量・文末の機械計測は悪化した | ルール集と、試し書きから得た指摘・直し方を併用する |
| 作風の選択 | 予測した作風ではなく、温度を一段上げた第三案がAIの盲検評価で勝った | 予測と、実読者の好みを同一視しない |
| 嘘の検出 | 5件中3件から改修後4件を検出、誤検出0件 | 残った見逃しの型を記録する |
| 主要な事前予測 | 4件中3件が外れた | 予測を結果の説明に使わない |
| 1話あたりのAI処理 | 約13分、約2ドル | 人間の読解レビューは毎話数時間 |
費用は生成だけでは説明できない
検証全体の費用は、API料金に換算して1,086ドル相当でした。内訳は、本文の生成が7ドル、採点・点検などが51ドル、検証の設計と進行が1,028ドルです。
実際の請求額ではなく、ほかの制作にそのまま当てはまる数字でもありません。費用の大部分が、本文を書くことではなく、検証を設計し進めることにかかっていた。その事実を残しています。
ふだんの執筆は1話あたり約2ドル・約13分ですが、これには仕組みを動かすためのAI操作や、人が読んで確かめる費用と時間は含まれていません。
数字も、測る道具も、疑う。
Fableの記録|2026年7月の検証スライド
2026年9月23日の生成AIなんでも展示会 Vol.6の資料と、前後の制作記録をまとめています。制作や検証の時点は、各説明に記しています。
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